東京言友会様の会報に寄稿していた吃音漫画をまとめました
※作者自身は幼少期から続く難発性の吃音症者ですが、以下の内容はその吃音当事者への批判的表現と過度の自虐、創作的悪ふざけを含みます。
作者である私は東京言友会の一利用者でしかなく、以下の内容は決して言友会という組織の思想を体現した主張ではございません。この作品群はあくまで作者である私の吃音に対する偏見に満ちた答えであることをご理解の上お読みください。
東京言友会ニュース8月号 2025年7月11日発行
初めて寄稿した四コマ漫画です。障害をテーマにするという部分でかなり悩みましたが、まずは吃音者あるあるネタで様子をみることにしました。一つ目は「本当に言いたかったことが言えず妥協する」話で、二つは「必ずしも自分の声で喋る必要がない」話です。
そして吃音に対するコンビニ店員の反応がこの漫画で伝えたかったことの全てです。例え吃音者同士でも健常者相手でも、吃りをぶつけられると相手は特別な対応を余儀なくされてしまいます。私たちは世の中に対して不要な手続きを発生させてしまっているのです。世のコンビニ店員様、いつもありがとう!
ちなみに主人公の名前は瀞見瑞久(トロミミズク)と言います。まずトの出だしと、ミの連続の部分で吃るので彼は自己紹介が大の苦手です。もちろん小学校時代のあだ名はミミズクですが本人は気に入っています。せっかく進学して人間関係がリセットされたのだから「吃り君」という烙印を押される前に友達を作るという器用なことができる人です。そのため吃りを晒すことに強い忌避感を持っているのですが、その割にメンタルが鋼なので性格的には明るくポジティブです。私もこうなりたかった。
東京言友会ニュース9月号 2025年8月8日発行
二回目の掲載で演出的な面白さを盛り込み始めてきました。一つ目は「軽い挨拶すらもできないおかげで不本意な印象を抱かれる」話で、二つ目は「喋ることを恐れると言葉を発すること自体が困難になる」話です。
瀞見君、子供みたいな見た目で実は大学生です。ですが私は大学生活というものを知りません。なので大学生でもないのにネットで講義の時間を調べたり、男子大学生のファッションを調査していました。男子大学生というのは大体黒のシャツか部屋着みたいな薄汚れたパーカーという面白味のない出立をしています。
ちなみに佐藤さん「男らしいね」とかなんとか言ってますが、本人は男です。
佐藤さんは吃音に対して興味自体を抱いていません。
東京言友会ニュース10月号 2025年9月12日発行
瀞見君が酒の力を借りて吃りまくる回です。四コマ漫画的には無駄な書き込みが多く読みにくいですが、個人的にこの話が一番好きです。描いてて楽しかった。
テキストでの吃り表現を模索している様子が伺えます。無意味な音の連続や、音は同じだが意味が違う誤字脱字が大量に混ざっていることで酷く読みにくい状態になっていますが、これは吃音者の言葉を理解することの面倒くささを表しています。口の端に泡吹かせて虚空を見つめながら濁音を連発させるのが瀞見君のリアル吃り描写なのですが、それを描くのは私の役割ではないのでどなたか劇画タッチでその漫画を描いてください。
酒本というキャラクターは私にとって理想の友人像です。瀞見君の吃音を馬鹿にしたりネタにするけどそれは笑い話にできる場面に限り、超えてはいけないラインを弁えているからです。「猛獣同士の甘噛み的な弄りをする酒本」と「ダメージを受けない位置から一方的に弄る人々」との違いは自らの行動の責任を認識しているかどうかだと思っています。「配慮が必要なのはその通りだけど瀞見君が異様なのは事実だよね?」というタブーに触れているのですが、この考えを理解できる当事者は少ないと思います。ですが本来酒本と言う男は瀞見君同様、人として最悪な方の人間です。
一応注意しますが、酒本的な接し方は大人同士の吃音者でしか成立しません。吃音という障害を抱え将来の不安に苛まれている子供にとっての酒本的接し方はあまりにも棘が鋭いためトラウマを植え付けますので彼の行動は参考にしないでください。
東京言友会ニュース11月号 2025年10月発行
四コマ形式からページ全体を大きく使ったコマ割り漫画に切り替えました。vs酒本回で絵と内容を圧縮してしまった反動で「これならコマ割り形式にしたほうがいいのでは?」と思ってほんの些細な気持ちで初めてしまったお話です(決して話を二話分作るのが大変だからという理由ではありませんよ?)。
瀞見君、根が真面目なので踏み越えてはいけない境界線が分からず平気で人を傷つける言葉を吐きます。現実でもこれくらい冷酷に人を斬り伏せられたらどれだけ楽か。
ちなみに八千代さんの本名は八千代心愛(ヤチヨココア)といいます。私からしたら吃りそうになる苦手な言葉が連続した名前ですので喋りかけるときは警戒します。八千代本人は「心愛」という可愛いらしい響きが嫌いだし自己紹介では必ず吃るので名付け親を恨んでいます。八千代のファッションは私の趣味です。
東京言友会ニュース12月号 2025年11月7日発行
同じ吃音者でも「あの人は私より流暢だな」「きっと恵まれた人生なんだろうな」とか思って落ち込んだり「あの人は私よりうまく喋れないな」「可哀想に」など優越感に浸ったりと、身勝手に優劣を感じています。もちろん私も口には出しませんが差別的な思考を沸き立たせます(このように脳内の差別意識をテキスト化しても限りなくアウトですので気を付けましょう)。私が差別に対して言えることは「他人にとって何が差別に当たるのかは日々考えていますが、全ての差別項目を網羅することは難しいので私の発言は限りなく差別に当たる可能性があります。そのため私の発言によってあなたの差別チェック項目にレ点が付された場合速やかにお伝えください。以降その渦中の発言を私の中のタブーにいたします」くらいです。これはなんのサービス業務でしょうか?
八千代さんはメンタルがカスなので優しくしてくれた相手に一方的に依存しますし、裏切った判定を食らったら一方的に恨まれます。こんな奴と気軽に関われるのは瀞見君くらいです。でも私はそういった幼稚な心の動きをする架空のキャラが好きです(あくまで架空です)。
東京言友会ニュース1月号 2025年12月12日発行
読者にとっての八千代の好感度を下げようと必死の描写です。
警官の装備一式を描くのが大変でした(特に言うことがない回です)。
やけに背景のモブが特徴的な理由ですが、作者はこんな風に街が見えています。
東京言友会ニュース2月号 2026年1月9日発行
迫真の二コマ。
作者の自我がキャラに反映されてしまうため、個人的に一番苦しい回でした。でもそんな青いことにいつまでもこだわってる姿を見せるのも恥が付き纏います。
喋り方がおかしすぎて飲酒や違法薬物を疑われるというくだりですが、これは作者の実話で実際の経験から来ています。まさか呂律の回らなさが疑いに繋がるとは盲点でした。今度職質されたときのために剥き身のホットケーキミックスをバッグに忍ばせておきます。
東京言友会ニュース3月号 2026年2月13日発行
八千代さんは身に覚えがあるので公権力から逃げました。ネーム段階では横流しで得た精神薬の類が見つかるのを恐れてのことなんですが、それを正直に描写したら生々しいので別のものに変えました。本当に横流しはやめてくれ。
役割的に警官は嫌われ者になりがちですが、彼らだってごく普通の幸せな家庭を持っているはずです。
そして手前の警官はただただ銃が撃ちたくて仕方のない蛮族です。「銃を所持しているのに最後まで発砲しない漫画」と「せっかく銃を所持しているのだから気軽に発砲しようとする漫画」どちらが面白いと思いますか? 当然面白いのは後者に決まっていますよね?
はい、作者は法律をもっとよく学ぶべきだと思います。
東京言友会ニュース4月号 2026年3月13日発行
ここまでキャラの変人度を上げつつ虚構を混ぜて話を進めてきたのだから、クライマックスはその天井を突き破る他にないでしょう。でもこれは酷い。懲役30年はやりすぎ。
言い訳がましいことを言っていますが、実際のところ共感や同情を買うような真面目な内容にすることを恐れ、自我に関わる描写をすると自分が苦しむので虚構展開に逃げただけです。恥を忍んで言いますが私の作品の一番のノイズは作者である私自身だからです。
そしてこんな意味不明な内容を会報に載せてしまい、あまつさえ文脈を知る由もない人々の手に渡ってしまったことが申し訳なく、今でも心苦しく思っています。
東京言友会ニュース6月号 2026年5月8日発行
休載を経てついに最終回です(そもそもシリーズ物だったのか?)。
——いや、君たち誰? 1ページ1ヶ月ペースでしたので、もはやキャラデザが違います。
このオチの解説は一言「ギャク時空」で全て理解できます。二人が逮捕され懲役からの和解は事前に決めていたのですが、その展開が他者にとって異様であると気づけたのが実際に形にした後のことです。
瀞見と八千代、最初の出会いの要素を繰り返すことによって、なんとなく風呂敷が畳まれた感が出てますね。無計画にもかかわらずいい雰囲気な感じのオチによく辿り着いた。
と、自分を褒めてしまったら終わりです。
というわけで、ここまで読んでくださった読者の皆様、時間泥棒をしてしまい誠に申し訳ございませんでした。
※繰り返しますが、以上の内容に含まれる思想は私個人の主張です。
最後に、誌面上の貴重な一枠をいただき、なおかつ寛大な心で自由な表現を許していただいた東京言友会運営の方々へ改めて感謝の意を送ります。
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